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2012-12-15(土)

純白のギタリスト

カテゴリー: - BlueMoon @ 16:29:19

「お医者さんになりたいって思ったことある?」

そう聞くと彼女は?マークがいっぱいの顔で
「ない・・・と思うけど、なんで?」と答えた。

「昨日の夢の中でお医者さんだったよ」
「えー!何のお医者さん?」
「脳外科。聞きたい?」
「うん」
「健康診断の結果でさ、脳に異常が見つかったって言われるんだよ」

その瞬間、頭の中が空っぽになった。
「・・・なので手術するかどうか決める必要があります。」

混乱した頭で言われたことを理解しようとする。

どうやら自分の頭の中で何かが起こっている。
それは手術しないと治らない。
だけどうまくいくかどうかはわからない。

「なるべく早く決めてください。」
そんなこと急に言われても。

「それでどうしたの?」
「手術するって決めて執刀医を紹介されるんだけど、それが君だったんだ」

手術をすると決まった後は開き直ったのか不思議と落ち着いていたが
まわりはそうは思ってないようでいろいろと気を使ってくれる。

心配をかけて申し訳ないけど一人になりたくなって
パジャマのままで病院内をぶらぶらと歩く。

そのうちに廊下の先に彼女がいるのを見つけた。
僕に気が付いてないみたいで、誰かが話しているのを聞いている。

「本当にあの手術やるんですか?うまくいくとは思えないです」
近づいた僕の耳にそんな言葉が聞こえてきた。

彼女は静かに、でもはっきりと言った。
成功率は限りなく低いです。だけどやらなければ確実に死にます。
だったらやります。

「うん、僕も全く同じ考えだ」

そう声をかけると彼女はこっちを向いて
「もう、こんなに気が合うなら結婚しよう」といって笑った。

「それでその手術したの?」
「いや、してない」
「え?それじゃそこで終わり?」
「それがまだあるんだな」

もうすぐクリスマスということで、病院でパーティをやることになった。
彼女は昔バンドをやっていてギターを弾くらしい。

当日になり、僕はなんとなくこそばゆいような心配なような
子供の発表会を見守るお父さんみたいに会場をこっそり覗いた。

ステージでは彼女がギター弾きながら歌っていた。
「ん?なんでウェディングドレス?」
そうつぶやいた僕の声に近くの人が反応する。
「あのバンドならあれでいいんじゃない?」

そっか、バンドやってた時はこんな感じだったのか。
ちぇ、もっと早く会いたかったな。

「それでね、ウェディングドレスきてギターを弾きながら歌ってる君が
すごくかわいくて、このままさらって逃げたいなーとか思うわけ」
「さらって逃げたの?」
「わかんない」
「手術は?」
「どうだろう?そこで目が覚めちゃったんだ。
今回のネタは解散発表したバンドの人が稼業継ぐ話と、震災復興で
期間限定で復活したバンドと、健康診断行ってなくてヤバいだね。」
「ウェディングドレスは?」

単純に君と結婚したかったんじゃないかな。
そういうとちょっぴり赤くなった彼女のほっぺたをにやにやしながらつついてみた。


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